効率化で注目されている「スクリーン印刷のデジタル化」ですが、単なる無版化だけが選択肢ではありません。「インクジェット等の無版印刷」と「デジタル技術搭載の有版印刷」は異なるアプローチの印刷方法です。本記事ではこれら2つの違いと、課題に合わせた適切な選び方を解説します。
スクリーン印刷の現場担当者の悩みといえば、製版にまつわる時間とコストの問題が取り上げられるでしょう。
100枚以下の小ロットでは製版コストが単価を押し上げ、失注の大きな要因ともなりえます。製版工程は乳剤塗布や現像などアナログ作業が多く、熟練技術と長時間を要するのも難点です。リピート用に保管する膨大な版が工場スペースを圧迫し、管理コストを増大させる点も深刻な課題となっています。
スクリーン印刷(有版)と、インクジェットに代表されるデジタル印刷(無版)には、仕組みや得意分野に決定的な違いがあります。それぞれの特性を比較表にまとめました。
| 比較項目 | スクリーン印刷(有版) | デジタル印刷(無版) |
|---|---|---|
| 印刷の仕組み | メッシュ状の版を使い、 インクをスキージで押し出す |
ノズルからインクを直接対象物に 吹き付ける(インクジェット等) |
| 初期費用 | 版を作るための「製版代」が必ず発生する | 製版代ゼロ(デジタルデータのみで出力可能) |
| 得意な部数 | 中〜大ロット向き (刷る枚数が多いほど単価が下がる) |
極小ロット向き (1枚からでも低コスト・定額) |
| インクの厚み | 非常に厚い (隠蔽性が高く、点字などの厚盛りが可能) |
薄い (下地の色や素材の影響を受けやすい) |
| 耐久性 | 極めて高い (屋外使用、工業製品、洗浄にも耐える) |
一般的 (摩擦や紫外線、薬品に弱い場合がある) |
| 対応素材 | ガラス、金属、プラスチック、布、曲面、立体物など多様 | 平面かつインク受容層(プライマー処理等)がある素材に限定されがち |
手軽さとスピード、写真品質を優先するならデジタル印刷が適していますが、機能性・耐久性・量産コストを重視するなら、依然としてスクリーン印刷に分があると言えます。
デジタル印刷(無版)は、製版代が不要でデータから即座に印刷でき、写真やグラデーション表現が得意なため多品種小ロットに適しています。
一方で、スクリーン印刷のようなインクの厚みが出せず、隠蔽性や立体感は劣ります。また、素材への密着性や耐久性が低く、金銀などの特殊インクへの対応も難しいため、高い堅牢性が求められる工業用途には不向きな側面もあります。
「スクリーン印刷の仕上がりは譲れないが、製版の手間は減らしたい」。そんな声に応えるのが、「デジタル技術搭載スクリーン印刷機」です。これらは、従来のアナログ作業の課題をテクノロジーで解決しています。
デジタル製版技術によって従来の暗室設備や、乳剤塗布・露光・洗浄といった薬液を使う工程を不要にし、データを送るだけでサーマルヘッド方式などで孔をあけ、わずか数十秒で版を完成させます。
高精度な位置合わせも進化しています。カメラやセンサーでワークの形状や位置をデジタル認識し、自動で正確な位置決めを行います。さらに、スキージ圧やスピードなどの品質の自動制御により、大判印刷でもムラの少ない均一な仕上がりが可能です。
印刷工程のデジタル化を成功させるためには、自社の課題と顧客のニーズを見極めることが重要です。
もし、顧客の要望が「とにかく1枚から安く、写真品質のフルカラー印刷したい」という場合は、インクジェット等のデジタル印刷機の導入がおすすめです。
一方で、「製版の手間を減らしつつ、スクリーン印刷の仕上がりは絶対に譲れない」といった時は、無版化ではなく、デジタル技術を搭載したスクリーン印刷機を選ぶことをおすすめします。自社の強みを活かしつつ、効率化に適した一台を選定してください。
無版を検討したけれど、やはりスクリーン印刷の仕上がりが不可欠だと感じた方は、下記の記事をご確認ください。
印刷物の種類別におすすめ
デジタル技術搭載の
スクリーン印刷機3選
スクリーン印刷機の中でも、印刷物の種類によってメーカーの得意不得意があります。そこでここでは印刷物に合わせておすすめのスクリーン印刷機メーカーを厳選して紹介。メーカー選びの参考にしてください。


