スクリーン印刷の現場で頻発する「にじみ」は、印刷パターンが徐々に太くなっていく現象であり、細かいパターンを印刷する際に技術者を大きく悩ませる不良です。本記事では、にじみの発生メカニズムを詳しく解説するとともに、製版仕様や印刷条件の見直し、メンテナンス方法など、現場で実践すべき具体的な改善策を分かりやすくお伝えします。
スクリーン印刷は、他の印刷方法に比べて転写できるインク量が多く、膜厚が厚くなる「厚膜印刷」ができるという優れた性質を持っています。しかし、その裏返しとして、スクリーン版の開口部からスキージによって大量のインクが供給されるため、転写時にインクがパターンからはみ出てにじみになりやすいというメカニズムからくる問題があります。
インク転写後は、できるだけ早く版を被印刷物から離さないと、版裏へインクが回り込みにじみになります。特に高粘度インクは密着力が強く版離れが悪化しやすいです。また、印刷機ごとの「離着機構」の構造違い、例えば引き上げの支点位置の違いによってクリアランスや版の伸びにばらつきが生じ、コンタクト時間が長くなることも影響します。
印刷時のスキージングにより静電気が発生すると、パターンの周囲にとげ状のにじみが出たり、ペーストの飛び散り(飛散)が発生したりします。また、矩形や額縁のような閉図形パターンでは極端に版離れが悪くなり、基板とのコンタクト時間が長期化します。その結果、版膜への回り込みが増えて、印刷方向の内側に顕著なにじみが発現します。
製版段階では、版離れや寸法精度を高めるために強度の高いメッシュを選択し、ファインラインには開口率40%を選びましょう。静電気対策として、ポリエステルなら帯電抑制処理メッシュ、ステンレスなら導電テープと枠から印刷機へのアースが有効です。乳剤厚20µm以下ならフラット加工を施し、低粘度インクには撥液性(BK処理)が効果的です。通常の処理で改善しない閉図形には、版離れを促す段差製版の導入を検討してください。
参照元:アサダメッシュ株式会社|スクリーン印刷の基本(https://asadamesh-global.com/jp/product-introduction/screen_printing_basics/)
印刷条件では、クリアランスを標準値に設定します。過剰なクリアランスや離着量は版を伸ばし精度を落とすため注意が必要です。スキージ速度が遅すぎると充てん力が過剰になりにじむため適正に調整します。また、印圧や角度、ゴム硬度のバランスを最適化し、ゴムのたわみによる実アタック角度の縮小に伴うインクのはみ出しを防ぎます。設定の目安は以下の通りです。
| パラメータ | 設定基準・目安 |
|---|---|
| クリアランス | スクリーン枠内寸の1/300(標準) |
| スキージ角度 | 通常70度前後(高粘弾性は60〜40度) |
| スキージ速度 | インク粘度と版離れ状態を見ながら調整(遅すぎるとにじみ) |
| スキージ・ゴム硬度 | 硬度80度の平スキージ(標準) |
参照元:アサダメッシュ株式会社|スクリーン印刷の基本(https://asadamesh-global.com/jp/product-introduction/screen_printing_basics/)
にじみ発生時の維持管理として、版裏を定期的にクリーニングすることが重要です。一度汚れた版は自然に直らないため、手動洗浄だけでなく、使い終わるまでテープ交換の手間がなく常に清潔な面で汚れを除去できる「巻き取り式の専用クリーニングローラー」などの便利ツールを導入することが、作業効率向上と溶剤・ウエス削減に有効です。また、転写と同時に版が離れて原理的ににじみが発生しないロータリースクリーン印刷機という選択肢もあります。
参照元:セリアコーポレーション|ニジミ取りローラー(https://www.seria.co.jp/materials/cleaning-roller/18/)
スクリーン印刷の「にじみ」は厚膜印刷特有の宿命ですが、静電気やパターン形状、版離れ不良、パラメータ過剰などの原因を正しく特定すれば、製版仕様や印刷条件の最適化で大幅に改善できます。パターンやインク、基材などの要素で状況は大きく異なるため、自社の課題に合わせて、製版メーカーや機械メーカーへ相談し、各種条件のトータルな適正化を進めましょう。
スクリーン印刷機の中でも、印刷物の種類によってメーカーの得意不得意があります。そこでここでは印刷物に合わせておすすめのスクリーン印刷機メーカーを厳選して紹介。メーカー選びの参考にしてください。


